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最高裁判所第一小法廷 昭和42年(あ)59号 決定 1967年7月20日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人藤田八郎、同鵜沢晋、同戸田善一郎の上告趣意のうち、判例違反を主張する点は、所論引用の高等裁判所判例は本件と事案を異にして適切でないから、所論はその前提を欠き、その他の論旨は、違憲をいう点もあるが、結局は単なる法令と違反を主張するものと認められるから、いずれも適法な上告理由にあたらない。(なお、本件起訴状の第一葉と第二葉とは、その間に検察官の契印のあることおよび第二葉に「別紙」と記載されていること等からみて、合して一個の文書を成しているものと認むべきであり、また、その第二葉に記載された犯罪事実が公訴事実である旨の表示を欠いているのは、特に記載の明確性を重んずべき起訴状として好ましくないことではあるが、それが公訴事実として記載されたものであることは文書全体の趣旨に徴し明らかであるから、これをもって起訴状としての適法な要件を欠いているものということはできない。これと同趣旨に出た原判決は正当である。)

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 大隅健一郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田 誠)

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